がん保険の基礎知識

がん保険は必要?
不要?

がん保険について、必要か不要かは意見が分かれるところです。身近にがんになった方がいればがん保険の必要性を実感できるかもしれませんが、そうでなければ、不要だと断言できないまでも、加入するかどうか迷われることでしょう。

がん保険に加入するかどうかについては、現在の年齢や性別、がんについての情報量によっても変わってくるかもしれません。そこで今回は、がんになる確率はどの程度か、がんの治療にどのくらいかかるのか、社会保険制度でどの程度カバーできるのか、統計資料などを交えながらがん保険に関連する情報をご紹介していきます。



年齢を重ねるほど、がんになる可能性は高くなる

まず、がんになる確率がどのくらいか確認してみましょう。次の資料は、国立がん研究センターがまとめた「上皮内がんを除いた年齢階級別・性別罹患率」です。人口10万人のうち、2016年に新たにがんと診断された人の割合を表しています。

資料を見ると、50~54歳までは女性の方が罹患率は高いですが、55~59歳以降は男性の方が高くなります。女性は男性と比べて緩やかに増加しますが、男性は55~59歳を過ぎると急激に増加していることがわかります。

この資料から、高齢になるほどがんになる罹患率が高くなり、それに伴って必要な医療費が増大する可能性があります。あらかじめ備えが必要かどうかは実際にかかる医療費の金額によるでしょう。また、医療費だけでなく、自由診療や先進医療、病院までの交通費などの諸費用にも備えておく必要があります。そこで、がん治療に必要な費用や先進医療などについて確認していきましょう。

がん治療に必要な費用はどのくらい?


厚生労働省「医療給付実態調査」(下表)によると、入院費用は総額(社会保険制度適用前)で60万円前後となり、がんの種類によってはもっとかかる可能性があります。外来費用も総額として書かれていますが、通院する回数によって異なってきます。

一方、自己負担額(総額の3割として計算)は、入院費用で20万円程度、外来費用で1万円~2万円程度となります。また、高額療養費制度によって実際の負担額はさらに軽減される可能性があります。

厚生労働省「平成29年(2017)患者調査」によると、がんによる入院の平均日数は17.1日となっています。ひと月の医療費が高額になった場合には高額療養費制度が適用でき、自己負担限度額を超える分は払い戻されますので、例えば標準報酬月額 が28~50万円の方が、入院費用と外来費用の総額合計が70万円だった場合の自己負担額を試算してみましょう。
※ 標準報酬月額:社会保険制度で被保険者が受け取っている給与などの報酬の月額を区切りの良い幅で区分した額のことで、保険料や保険給付の額の計算に使用されます。

<高額療養費制度>
・自己負担限度額
 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

上記の式にあてはめると、「80,100円+(700,000円-267,000円)×1%=84,430円」が自己負担限度額となります。窓口で「700,000円×0.3=270,000円」を支払っている場合、高額療養費制度を適用することで、「270,000円-84,430円=185,570円」が払い戻されます。なお、事前に「限度額適用認定証」の交付を受けることで、窓口負担も自己負担限度額までとすることができます。
※健康保険の加入者が70歳未満であり、同一月内の医療費であるという前提条件での試算です。

以前と比べるとがんの治療による平均入院日数は短くなっていますが、抗がん剤治療などを通院で受ける場合には、代わりに外来費用(通院費用)がかかる可能性があります。再入院や通院費用を考えると、高額療養費制度があったとしても、医療費の負担を感じるかもしれません。

自由診療と先進医療は全額自己負担

ここまで、がんの治療にかかる費用や医療費の3割負担、高額療養費制度について解説してきましたが、これらは保険診療(3割負担)の場合です。「保険診療の対象外となる自由診療」や「先進医療にかかる費用(通常の治療と共通する診察・検査・投薬・入院等の費用は一般の保険診療と同様)」は全額自己負担となります。その他に入院中の食費や差額ベッド代(個室や少人数部屋を希望した場合にかかる費用)、医療機関までの交通費など治療に付随する費用もかかります。
ここでは、医療保険やがん保険に付加できる先進医療特約に関連して、先進医療の治療費を紹介します。


がんに関する先進医療では、陽子線治療と重粒子線治療が代表的です。いずれも先進医療費が300万円前後となり、全額自己負担となります。また治療できる医療機関が限られていますので、住んでいる地域によっては交通費の負担も考えておく必要があります。

このように医療費だけでなく、先進医療費用や医療機関までの交通費などの費用を考え、金銭面での心配が軽減できれば、治療方法の選択の幅は広がるかもしれません。

働けなくなった場合の傷病手当金と障害年金

がんの治療が長期にわたった場合、医療費の負担だけではなく、収入減による家計への影響が考えられます。

入院などにより会社を休んだときには、健康保険等から傷病手当金が支給されます。傷病手当金は、病気やケガで給与を受け取れない休みが3日続いたあと4日目から支給されます。支給額は、おおむね給与の3分の2ですので、収入面でも不安となる可能性があります。傷病手当金の支給は最長で1年6ヶ月となっています。なお自営業者等が加入する国民健康保険には傷病手当金はありません。

一方、障害年金は、障害の原因となった病気やけがについての初診日(はじめて医師の診療を受けた日)から起算して1年6ヶ月を経過した日か、1年6ヶ月以内にその病気やけがの症状が固定した日を障害認定日として、保険料納付要件など一定の要件を満たせば、請求手続き後、障害等級の審査を経て、障害年金を受け取ることができます。障害年金は年金の種類や給与の額によって受取額は異なります。

がん保険の基本的な保障内容

ここまで、医療費と社会保険制度について解説してきました。医療費の支払いに備えるには日頃から貯蓄をするという方法もありますので、貯蓄が十分にあれば保険が不要と考える方もいらっしゃるでしょうが、がん保険による保障があることで高額になる治療方法も含めて幅広い選択肢から選べるようになることを考えると、貯蓄に加え、がん保険を活用するのも一つの方法です。

がん保険はその名の通り、様々な病気のなかでも特にがん治療に合わせて設計された保険です。がんで入院・手術した場合やがんと診断された場合に給付金を受け取ることができます。一般的には次のような保障内容となっています。

がん治療に対する様々な保障があり、複雑に感じるかもしれませんが、がん保険の基本部分となる保障内容(主契約)に豊富なオプション(特約)を追加することで、保障内容をご自身に合わせることができます。上記以外にも、保険商品によっては、女性向けの特約などがありますので、よりいっそう保障内容を充実させることもできます。

がん保険と医療保険の特徴

医療保険でも、がんに備えることができます。ここではがん保険と医療保険の一般的な特徴を比べてみます。

がんの入院日数は短期化していますが、がんの場合、転移や再発で再入院する可能性があります。しかし医療保険の場合、退院日翌日から180日以内に前回の入院と同一原因で入院すると、前回と合わせて日数を計算しますので、支払限度日数により期待どおりの保障を得られないことも考えられます。
また、前半にがんの治療費について紹介しましたが、転移や再発のことも考慮すると、より高額な治療費が必要になるかもしれません。がんについてどのような備えをしておくべきか、事前にしっかりと考えておくと良いでしょう。

まとめ

がん保険に限らず、保険は給付金や保険金を受け取れなければ無駄と感じるかもしれません。年齢により罹患率も異なるので、検討するときの年齢により意向も変わるかもしれません。
ですが、がんになったとき、金銭的な保障があれば、治療方法を幅広く選べるかもしれません。そういったことも含めて考えた上で、がん保険に加入するかどうかを検討してみてはいかがでしょうか。


※このページに掲載している社会保険制度に関する内容は2020年3月1日時点の制度に基づく内容です。

※このページに掲載している保険商品の内容は、一般的と考えられる内容です。各保険会社が取扱う保険商品の内容については、各保険会社へお問い合わせください。



FWD-C3154-2003